IBSを知らない人たちへ

過敏性腸症候群（IBS）についてお知りになりたい方はサイト内もしくは検索などで分かりやすい説明があります。
これから長文でお話するのは、私の体験談と、過敏性腸症候群を知らない人たちへのメッセージです。
とても長いですが、どうか最後までお読みいただけることを期待して書きます。

私は高校1年の夏休み前からげっぷやおならが止まらなくなり、始めは自分の体の異常が恐ろしいのと、後ろの席の「くっさ」や舌打ちなどから、次第におならが漏れていることを自覚しました。
原因はいくつか思い当たる節があります。クセのある同級生からの執拗な嫌がらせ、部活動による過酷なスケジュール（朝練のために4時起き、帰宅時間は9時を回り、疲れ果てて寝たいのに、そこから親に夕食を無理矢理食べさせられ、お風呂や宿題をする時間をいれれば寝るのは11時を回る有り様）、それ以前に決め手となったのは部活動中に、過度の緊張で唾を飲み込む際、思い切り音を立ててしまい、先輩にクスクス笑われたこと。それ以来、物の飲み込み方をどうすれば良いか分からなくなって、大量の空気を飲み込んでしまう空気嚥下症になってしまったことです。

人間関係のトラブルがとにかく酷く、だんだん人間不信になって嫌がらせは妙な噂もつけられて酷くなっていました。
さらに、「おなら漏れ」というIBSガス型にとっては最低最悪、次の人生では二度とお世話になりたくない症状がとにかく苦痛でたまりませんでした。
すれ違いざまに鼻をすすられたり、罵られたり、馬鹿にされたり。さらには通学中の電車でも似たようなことがあり、妙な噂を流されていたことも重なって、スマホで写真を撮られ、拡散されるという犯罪並みに酷いこともされていました。
病院ではこの症状を理解してくれる先生がおらず、高校三年間は解決方法も見出だせないまま悲惨にすごしていました。集会や後ろに人がいるときなんて緊張と恐怖で、嫌がらせや聞こえるように陰口を言われることも日常茶飯事で、心が麻痺してきて、ボーッとするようになっていました。
卒業後、大学に進学し、そこでようやく「消臭パンツ」と出会って二種類購入しました。これで大学生活は安泰！そう思っていたのに入学式、効果がなく、私の周りはおならの臭いで充満して、後ろの人には椅子を蹴られまくり、何時間も地獄を味わいました。それもまたややこしい人に目をつけられてしまい、入学から次の通学日の時、既に一部の人たちに噂が広まっていたのがショックで恐ろしかったです。どうして、すぐに噂をして面白半分で広めるのか、大学生にもなって子供じみた人たちに呆れと怒りを感じました。
そこからさらに地獄でした。
高校のときにできなくて大学生になったらできるものは、携帯・スマホが自由に扱えるということ。
恐れてはいましたが、興味本位や、面白半分、鵜呑みにして真に受ける人たちによって、スマホで知らぬ間に（中には堂々とシャッター音を鳴らして笑い者にする最低な人たちも）写真を撮られ、SNSで拡散されたのです。
集団心理や同調圧力が働いたのか、とにかくひどくしつこく今でも写真を撮って面白がる人がいます。向こうは気づいていないと思っているようですが、犯罪だという自覚がない（もしくは分かっていても面白くてやる）人たちは本当に幼稚で倫理観を持っていない粗野な人たちです。
こちらはただでさえ症状に苦しんでいるのに、勉強中の図書館や授業で席に座っているときなどおかまいなしに嫌がらせをしてきます。程度の低さによくそれで大学に入学できたなと……呆れる始末です。おそらく私に死ぬなり大学を辞めるなりしてほしい人もいるのでしょうが、この病気は命に関わるものでもなく、私の性格上、持ち前の意思の弱さでそうなることはまずありません。死ぬのは恐ろしいし、そんな頭の悪い人たちのために死ぬなんて真っ平ごめんです。

もしこれを読んで下さっている方で、IBSを知らなかった方。こんな病気にはなりたくないでしょう。ただの他人事だとお思いでしょう。せめてその人には、これが原因で嫌がらせやいじめに合っている人をそっとしておいてあげてください。声をかけろとか、いじめっ子たちを止めろまでは言いません。せめて同調しないでください。

「嫌われている人」=「いじめても良い人」だという、特に日本人の右にならえの意識や空気がありますが、決してそれが正しいわけではありません。意見が一致したからと言ってそれが正解かというとそうではないのです。
過敏性腸症候群はストレスによって神経が弱って胃腸にまで影響を及ぼす心身症です。嫌がらせをすれば、さらに症状が重くなる人も長引く人もいるかもしれません。そうしたら、治療中の人たちにとっては酷でかわいそうなことです。折角、治りかけていた症状が、余計ないじめや嫌がらせでぶり返して絶望する他、周りも臭いで嫌な思いを延々とし続けなければならないのです。

もし、周りにおなら臭い人、おならが止まらない人がいたら、ただただ、そっと側を離れて嫌がらせも陰口も何もしないであげてください。先生に言ってくれるのは大いに結構です。先生から本人に話が行き、養護教諭の先生と話し合って席を変えてもらったりなど改善してくれるかもしれないからです。
他には、大人の接し方で、本人がいる前での陰口はやめてあげてください。本当は聞こえているのに、臭っているのが自分であると分かっているのに、病気のせいだと言えないのは、まだまだこの病気の認知度が低いからです。特効薬もない中、同じ人たちとの情報交換やオリジナルの方法でなんとか治そうと悪戦苦闘しているのです。中には胃腸が動いておならが漏れ、周りに迷惑がかかるという恐怖から、ご飯を食べれず痩せ細ってさらなる病気にかかる人もいるのです。

高校三年間と現在でも嫌がらせの盗撮や誹謗中傷などの酷い目に合っている私も、現在治療中の身です。症状自体もストレスですが、周りからの嫌がらせもストレスです。もし自分の側から臭い人たちがいなくなってほしいと思うなら、その場を離れるか、その人が治療中であるなら何も言わずそっとしておいてあげてください。
IBSへの理解が少しでも広まってくれることを祈っています。