IBS(過敏性腸症候群)ってどんな病気?
過敏性腸症候群(irritable bowel syndromeの頭文字を取ってIBS)とは、血液検査や内視鏡検査では何ら異常が認められないのに、腸が知覚過敏を起こしてしまい、下痢や便秘、おならなどの症状を引き起こす病気です。
この病気は、未だはっきりとした原因は解明されていないのですが、一説によると不安やストレス、緊張がきっかけで、脳から自律神経を介して腸に異常な指令が送られることが原因と言われています。
もし、通勤や通学の途中で、または大事な試験の前などに、なぜかおなかを下してしまう!という人は、すでにあなたもIBSかもしれません。
IBSの症状には、主に下痢型、便秘型、ガス型、これらの混合型の4つのタイプが知られていますが、この「みんなのIBS体験談」では、特にガス型、つまり「おなら」の症状について取り上げています。
IBSガス型の場合、健康な人のおならと比べて、ニオイがきついという特徴があります。さらに、おならが出る回数も多く、10分間で50回くらいおならが出たり、授業中ずっとおならが止まらないこともあります。
しかし、この病気の本当の辛さは、おならの症状がもたらす身体的な不快感よりも、むしろ、その症状に対する第三者からの偏見や侮蔑が患者の心を深く傷付けるのです。
>想像してみてください。
思春期にさしかかり、自我に目覚めて、周りの人の視線がとても気になり始める頃、あなたは授業中に毎日おならが止まらなくなるのです。後ろの席の人からは「くさいくさい」と毎日陰口を叩かれ、不名誉なあだ名をつけられ、申し訳ないという自己嫌悪と、情けなさや惨めさ、くやしさが入り交じり、いつも「またおならが出たらどうしよう」と怯えて過ごすようになるんです。誰かが鼻をすする音や、咳払いが聞こえただけで、体が硬直してしまうこともあります。いわゆる「おなら恐怖症」の症状です。
前述しましたが、この病気の原因と言われているのが「不安」や「ストレス」や「緊張」です。
つまり、おならのことを気にすれば気にするほど、おならの症状はどんどん悪化してしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
IBSの潜在的な患者数は、およそ800万人と言われていて、自覚のない患者を含めると日本人の約10人に1人がIBSの疑いがあると言われています。
実はこんなにも身近な病気だったのに、今まであまり聞いたことがなかったのは、患者本人が「おならが止まらないなんて恥ずかしくて言えない」「親には心配をかけたくない」という思いから、誰にも相談ができず、自分が病気であることをずっと知らないまま過ごしてしまうからなんです。
もし「自分だけがみんなと違う特異体質なんだ」と思い込んでいる子供がいたら、IBSという病気のことを教えてあげてください。自分の症状に病名が付いただけで「これは病気のせいだったんだ!!」「自分だけじゃないんだ!!」と心が救われるものです。
また、学校では保険だよりや全校集会などで、養護教諭の先生から「過敏性腸症候群という病気があるんだよ」「病気だから馬鹿にしちゃダメだよ」「心当たりの人は相談してね」と定期的に呼びかけてあげることが出来れば、その子の味方になってくれるクラスメイトや、特別な配慮に理解を示してくれる先生も現れるかもしれません。
もし、クラスのみんなや先生が、IBSのことをちゃんと知ってくれたなら、「学校なんて行きたくない」と思っていた生徒も、明日は学校に行く勇気が持てるかもしれません。
私たちはIBSに対する世間の理解が深まって、一人でも多くの先生が傷ついた子供たちの味方になってくれることを願い、この「みんなのIBS体験談」という掲示板を立ち上げました。